僕が天使になった理由
公式サイト:http://www.over-drive.jp/project/bokuten/
OVERDRIVEの僕が天使になった理由をプレイしました。
ストーリー:S
イラスト:S
音楽:S
キャラクター:A+
以下、いつものごとくネタバレ満載。
オムニバス形式で、共通√は1話〜6話まである。6話以降、百合とみなも、奈留子√へ分岐。3人を攻略後にアイネ√解放。
√分岐、選択肢は基本的に欠片を返すか返さないかの二択です。
この物語、主人公はアイネとしか本当の意味で結ばれません。
ほかのヒロインとの√はありつつも、実質、バッドエンドのようなもの。
1話
同級生同士の恋を描いたもの。好きになった人に好きな人がいたらどうするか。
少女漫画っぽく、このゲームへ引き込んでくれる導入部分と言える。ハッピーエンド。爽やかだなぁという印象。
まぁ、こんなの序の口だった。
2話
教師とバンドをやってる元教え子の話。
彼の夢を尊重し別れるか、彼は夢を諦め彼女と一緒にいることを選択するかの二択。
そのままのお話。別れてそれぞれの道を進むエンドか、彼が夢を諦めそれでも一緒にいるエンドか。
これがいちばん「エロゲ」っぽい二択の選択肢だったかな。わかりやすい選択肢でした。
3話
容姿にコンプレックスのある少女と、彼女とは正反対に可愛く優しい親友。その少女と親友が恋してしまった男の子との話。
三角関係。恋人をとるか親友をとるか。選ばなかった人間との関係はとても良いものとは言い難いものになる。
これも題材としてはありがち。彼氏と結ばれる√はひたすらに親友ちゃんが気の毒。
親友ちゃんが幸せになる世界、どこかにはあってほしい。
4話
男性同士の恋愛の話。同性愛。
教師(♂)に恋する生徒会長(♂)と、男装してまで一目惚れしたその生徒会長のそばにいたいと、見守りたいと願う後輩(♀)のお話。
題材が題材だけにハッピーエンドとは言い難いが、読後はスッキリした気分になれる。この物語で1番後味がいい終わり方をするかもしれない。
わたしはBL好きだけど、男の人がプレイすると苦手だと思う人もいるのかな。直接的な描写はないんだけど。
とにかく後輩くん(女の子だけど)が可愛い。
5話
売れない芸術家(引きこもりニート)と、美人な秀才ちゃんの話。
自分の逃げ道として年上の男性につきまとう秀才ちゃん。勉強ばかりの窮屈な日常も、彼といるときは安らぐってやつ。
相手もだんだんまんざらでもなくなってくる。共依存?というのかな。
年上の男性って魅力があるよね。それが逃げ道として、でも。
主人公はどちらのエンドでも、最後すべてを受け入れ前向きになっていたから、この話も割とポジティブな内容。
必ずしも愛し合う2人が一緒にいることだけが幸せではないんだよ、という話。
6話
この物語で1、2を争う最低最悪な物語。
高嶺の花な彼女は、汚いおっさんの性奴隷でした。そんな彼女を心配する、冴えない男子生徒の話。
彼女を助け出し無事付き合うことになるが、彼女はもう普通のセックスでは満たされなくなっていた。こんなにも彼が好きなのに満たされない。こんなにも彼女を好きなのに満たしてあげられない。
百合、みなも、奈留子までの6話は、どの選択肢を選んでもバッドエンド直結でした。お互いにお互いを諦めるか、彼が彼女を性奴隷として扱うかの二択。最悪です。
が、アイネ√直前の選択肢で、2人に希望が見えました。よかったです。泣きました。これは積まなくてよかった。積んだら間違いなくクソゲーでした。どこのエロ同人かよって。
ここまでが共通√です。
漫画を読んでいるみたいで、サクサク進められました。きっとこの6つのなかのどれか1つは、誰しも共感出来たり、好きになったりできる物語なんじゃないかなと思います。
わたしは4話と5話が好きでした。
百合、みなも√に関しては、あまり色々書けない気がする。とくにみなも。
共通√でかなり空気だったから、やっと√入って魅力を感じられた。わたしはメガネ萌えとかしないので、断然髪下ろしてグラドルやってるときのほうが好きです。
みなも√
アイドルの成長物語。
エンド分岐は、アイドルとしてのみなもを応援するか、駆け落ちするかの二択。
たぶん応援するほうがトゥルーエンド。
うーん。よくある話。エロゲに限らず、芸能人を題材にしていちばん最初に思い浮かびそうな話だなという印象。
悪かったわけじゃないし、しっかり作り込まれていてよかった。みなもというより、主人公の成長が伺えて楽しめました。
ただ、共通√がツボにハマりすぎたのと、4話と6話の印象が強すぎて、普通の良い話のみなも√はわたしの中で薄れてしまっただけだと思う。
みなもちゃん自身は可愛くて大好き。
百合√
主人公と同じくらい「自分は幸せになってはいけない」と思ってる百合の話。
わたしのトラウマです、これ。
彼女には桃という妹がおり、施設で暮らしている。
過去、妹に両親をとられてしまう!という子供心から進んで家事をした際に、不注意で火事を起こしてしまい、両親は亡くなった。それから、妹から両親を奪ったのは自分だと、自身を罰して生きてきた。
これもありがちだなという印象。過去に縛られた百合は、けれどもしっかり己と妹と向き合い、過去を克服していくんだろうなと思っていたら…真逆な展開すぎて、唖然。というか吐き気がした。
なんてったって、妹は姉を苦しめていたことに気付き自責の念から自殺するエンドか、主人公に姉をとられ狂ったかのように主人公と体の関係を持つエンドしかない。しかも、後者は3Pです。桃ちゃん、ノリノリでセックスしまくる。こわいです。桃ちゃんから溢れ出る狂気にわたしは吐き気を催した。
この√をプレイしたあとから、主人公と同じように、わたしも桃ちゃんを見るだけで震えるようになった。や、ちょっと盛ったけど、マジでこわい。
あんまりプレイしていて良い気分になれる√ではなかった。
奈留子√
最強幼馴染。わたしの本命。
主人公が心を塞ぎこんでしまったときから、ずっとそばで主人公を支えてきた奈留子。
けれど、自分が主人公を好きになると、もう主人公のそばにいられなくなることがわかってた奈留子は、自分の心を自ら切り取った。捨てた。
主人公のことを好きな一心で、そばにいたいと願う一心で。
わたし、幼馴染萌えもないんだけどな。奈留子みたいなタイプもいつもはスルーなんだけどな。
欠いた心が戻り主人公を意識するようになった奈留子は素晴らしく可愛かった。本当に可愛かった。
この√で運命の赤い糸の秘密を知り、エンド分岐。
奈留子と結ばれても必ず別れが来ると知りながらも、身体を重ねるエンドでは、幸せの絶頂期で、お互いがお互いのことを忘れてしまう。
もう1つは、付き合わない、もちろん手もつながない、キスもしない、セックスもしない、だからずっとそばにいられるよね…というもの。恋人同士じゃなくても…恋人同士じゃないからこそ、一緒にいられるよねってお話。
恋人とか、幼馴染とか、友達とか、そういうものを超越したお話。
(心の欠片、天使、赤い糸については書きません。気になる人はゲームやるかほかのサイト見てね!)
奈留子√はとくに清人が光っていた。
主人公の親友って、素晴らしい人ばかりだなぁ。清人もそれに漏れず、最後まで良い人でした。彼が幸せになりますように。
アイネ√
トゥルー√?グランドエンド?
主人公には、アイネと結ばれる未来しかないんです。主人公の赤い糸はアイネとしか結ばれてない。これはそういう物語だから。
だから、百合、みなも、奈留子√はあんな終わり方だったんだろうな。
このゲームはアイネのことを好きになれなきゃどう考えてもクソゲー認定しか出来ないと思います。
赤い糸とか、天使とか、地球の心とか、そういう伏線がいっきに回収されていく。もちろん主人公の過去とか、アイネの正体も。
アイネ√の最後は、主人公が天使になります。そして、アイネは人間に戻ります。
最後の方のCG、総じて素晴らしい。これを見れただけでもプレイした価値があると思わせてくれた。
「僕が天使になった理由」がわかるお話でした。
アイネの中の人は「桐ノ小島翼」という方らしいのだけど、この方、いまのところアイネしか演じていらっしゃらないんですよね。しかも名字が主人公と同じ。うーん、謎です。この辺なにかわかる人いたら教えて頂きたい。
正直、アイネ√で明かされるすべての秘密は無理矢理感があるというか、御都合主義というか。そういう捉え方をされても無理がないかなという印象。
だけど、人間の愛とか恋とか、幸せの形とか、誰かを想う気持ちとかって、こういう結末にでもしないと語れないんじゃないかとも思います。
わたしは好きでした。このお話。
愛するという1つの行為でも、様々な形があるんですよね。
おすすめ攻略順番は、百合→みなも→奈留子→アイネ。
百合とみなもはどちらから攻略してもいいけど、奈留子は3人の中で最後がいいかも。かなり伏線回収されるから。
あえて奈留子√からやるという手もあるけど、たぶん、彼女から攻略したら、ほかの√やりたくなくなると思う。わたしだったらしんどすぎて積んでしまう…。
いままでプレイしてきたなかで、1、2を争う満足度でした。
とくにわたしは共通√の1話〜6話を推す。
総じて出来が良いものだった。
どんなゲームもそうだけど、人を選ぶなということは強く感じられた。
エロゲでこの題材に挑戦するなんて、凄いなと思う。
必ず結ばれる相手が決まっているのに、ほかの人とも√があるんだもの。残酷だ。
アイネ√以外で得るものがなかったか?と聞かれたらもちろんそういうわけではないので、すべてにおいて、わたしはとても楽しめたけど。
ただ、深くトラウマを植え付けられたゲームでもある。本当にプレイ中はつらかったです。
あとおまけシステムが素晴らしい。
音楽をモチーフにしていることもあり、鑑賞モードでは、歌詞コードが出たり、プレイリストが作れる。
フルコンプした際もキャラクターが祝ってくれたり、1つの√終わるごとに、おめでとう!ってキャラクターが言ってくれる。ほっこりする。
カレンダーシステムもわかりやすくて良かった。
細部にまでこだわっていて、プレイしやすかったです。
おわり。