紙の上の魔法使い
ウグイスカグラの紙の上の魔法使いをプレイしました。
公式サイト:
http://kagura.rdy.jp/kamimaho/
この先の文章、紙の上の魔法使いをこれからプレイしたいと思っている人は、絶対に見ないでくださいね。絶対ですよ。絶対ですよ。フリじゃないですよ。
ストーリー:A
イラスト:A-
音楽:A
キャラクター:S
総合点は90点。
まさかここまで重たくてプレイしていてしんどいとは、だれがプレイ前は思ったか。
もっと明るくて楽しい物語だと思ってましたよ。
イラストは可愛くて好みだったものの、ところどころバランスがおかしかったりしたので、この評価。
OP、EDがないのは少々残念な気もするが、プレイし終えてみて、なきゃないでいいかなと納得できる程度。
BGMは聴いていて落ち着くものばかり。特にタイトル画面でも流れる「紙の上の魔法使い」はお気に入り。
この作品、以前プレイした少女神域と比べると、うまく出来すぎていて、考察の余地とかないんですよね。
飽きさせない日常会話、散りばめられる伏線、先を早く読み進めたいと思わせる文章、それから徐々に伏線回収がされ、物語終盤の怒涛の伏線回収劇。
素晴らしいの一言に尽きるとともに、プレイしていて、とてもつらかった。
ヒロインのうち一人は人外、一人は自殺をし序盤で退場、そしてなによりも、主人公も物語中で死んでしまう!そして人外になる!しかもそれがわかるのは物語終盤!
なんということだ。
基本的に明るい雰囲気で物語は進んでいくものの、物語は常に鬱の最高潮で進んでいくので、プレイしていて疲れた。
別に悪い意味ではなく、純粋に、疲れた。
好きなキャラクターはダントツでかなただけれど、嫌いなキャラクターはいない。
ツンデレな夜子も、小動物のような理央も、最期まで兄を想っていた妃も、普通の女の子のクリソベリルも、みんな可愛くて、大好き。
ただね、日向かなたは、主人公を手助けしていたとともに、プレーヤーのことも助けてくれていて、救っていてくれたんだなと。
かなたのあの明るさがなかったら、主人公だけでなく、プレーヤーもこの物語の結末を知ることは出来なかったんだと。
この物語の根底にあるものは、だれもが抱えたことのある恋心だったり、だれかを想う気持ちであったり、だれかに嫌われたくないと、傷つきたくないと思う心だったり。それから、だれかを羨んで嫉妬して、嫌って、憎悪して・・・そういう当たり前のものなんじゃないかなぁ。
ところでね、闇子さんは死んでしまったわけだけれど、だれもこのことについて言及していないのはいいの?
みんな闇子さんがすでにこの世に存在していないことを知っているの?
そこはプレーヤーに語らないのね。
パッケージ買いをした人には、ご愁傷様としか言えない。
イチャラブゲーじゃないからね。
妃と夜子は「二番手」だから。
この物語、横道にそれないで、まずはトゥルーエンドまで進めたほうがいいのかもしれない。
わたしは攻略を見ながらやったので、理央→妃→夜子→かなた→トゥルーの順番でプレイしたけど、いかんせんこんがらがる。
わたしの頭が弱いのと、時間をおいてプレイしているせいもあるとは思うんだけど・・・。
まぁ、トゥルーエンドはその名の通り真実を語っているので、結局どうあがいてもこの物語にとっての「真実」はトゥルーエンドなんだろうけどね。
それを見た後でほかのキャラのエンドを見ると、こういう未来もあったのかもしれないと、思える。のかも。
なんだか言いたいことがまとまらないが。
もっと評価されるべき作品とはよく言ったもので、この作品はまさしくそうなんじゃないかな。
パッケージとは裏腹に、重たい物語で、決して後味がいいと言えるものではなかったけど、終盤の清々しいまでの伏線回収は、クリックする手を止められなかった。
日常会話がつまらないという意見もちらっと見かけたが、うーん。どうなんだろう。わたしはすべてを面白く感じられたな。まぁ人それぞれか。
妃の気持ちも、理央の気持ちも、汀の気持ちも、ひいては、闇子のわが子を想う気持ちにだって、共感できる部分はあるわけで。
人を愛することはきれいなだけじゃないって、妃も言ってましたしね。
とにかくプレイしていて重たかったけど、やる価値はあったなと。やってよかった。
特に泣けるとか、笑えるとか、感動できるとか、そういう感情はいまはない。そのかわりに、伏線回収が素晴らしい!の一言に尽きるかと。
本当に、圧倒された。
まぁ多少甘い部分はあれど、このライターさんは素晴らしいなと素直に思わせてくれる作品でした。
ウグイスカグラは新作も控えているらしいので、めちゃめちゃ期待してます。
おわり。