少女神域∽少女天獄 -The Garden of Fifth Zoa-
Lassの少女神域∽少女天獄 -The Garden of Fifth Zoa-をプレイしました。
HP:http://lass.jp/product/5th_style/
タイトル、イラスト、キャッチコピーの「物語は、いつも幸福な結末とは限らない」に惹かれ、購入。
総合点は68点くらいかなぁ・・・。
自分の中で、70点いけば良作で、他人に文句なしに勧められる作品の部類に入るだろうなと思いながらゲームはプレイするのですが、この作品は、そこまでは届かないかも、という印象。
星いくつ、で例えるなら、星3つ。(5つ中)
ストーリー:B-
イラスト:A
音楽:S
キャラ:A-
ここから先ネタバレ満載です˞͛ʕ̡̢̡◌・ꄃ・◌ʔ̢̡̢˞͛
自己満足な感想。物語の説明はしてないので作品やった人向けかも。
攻略対象は4人。メインで出てくる女の子は攻略対象の4人+1人。
漢字変換面倒なので人の名前はカタカナ表記します。(気になった人は調べてね!)
まず攻略対象は、
主人公(シュン)の幼馴染で大学が同じのユキ、
同じく昔からの知り合いのミオリ、
実妹のサナ、
サナの親友のアイリ
という感じ。
わたしはユキ→ミオリ→アイリ→サナの順番に攻略したが、ぶっちゃけ最後がサナならどこから攻略しても良いのでは、なんて思ったりした。
もっと言うなら、サナ以外の3人のうちの誰か1人さえしっかり攻略すれば、あとの2人はいらないんじゃないかとすら思えた。
このゲーム、グランドルートが妹のサナに用意されているんです。
じゃあほかの3人はどのような感じかというと、まったくもって同じ内容。本当です。ただキャラをすげ替えただけです。
例えば、1つ屋根の下で暮らす主人公とヒロイン4人がいるわけですが、主人公と恋仲になったヒロインが他の人間にバレないよう、2人だけにわかるサインを決めるところとか。
例えば、仲を深めるために街へデートをするところとか。
例えば、化物になった主人公とHするところとか。
もっというと、3人のエンドがまったく同じという始末・・・。
ノーマルエンドは、主人公は死に、ヒロインは主人公との子を産む。
バッドエンドは、ヒロインは化物になった主人公のなかに取り込まれ、生きる道を断つ。
だから1人目、2人目に攻略したキャラの印象が薄い。
もともとキャラゲーにすらならなそうな感じなのに。
それから共通ルートが多すぎる。
しかも、その共通ルートのほとんどが観光案内か、飯テロというとんでもない苦痛の連続。
二週目以降はもちろんそれらをスキップ出来るものの、個別ルートに入っても共通部分が多いので、凄く物足りない。
共通ルートが多すぎるうえに、先ほども書いたがサナ以外の3人が同じ内容なので、イマイチ主人公がヒロインに惹かれていく描写が薄い。ちなみにヒロインたちは昔から主人公と知り合いだったこともあり基本物語スタートと同時に主人公が大好き。(一部例外有り)
共通ルートでは、ヒロインの両親たちの会話も入って来て、そこで謎が少し解ける、ということもあるので、迂闊にスキップしたり出来ないこともあった。
その両親たちの会話をしっかり見ないと感動出来るものも出来ない。
結局細かい説明は最後までされずに、物語はサナルート・グランドルートに向かう。
かと思うと、そこでもロクな説明がされずに、プレーヤー置いてけぼり。
気付けばエンディング。
この作品、主人公とヒロインたちの恋物語というよりは、ヒロインとヒロインの両親たちの葛藤の物語といったほうが良いのでは・・・。
ヒロインたちは皆、家系に縛られ、親に縛られ・・・。
親たちも家系に、過去に縛られて生きてきた。
だからこそ、主人公とヒロインが惹かれ合う描写ももっと欲しかったが、ヒロインの両親等もあそこまで出すからにはもっとしっかり掘り下げて欲しかった。
残念でならない。
あと意味のわからない一枚絵。
イラスト自体は繊細で綺麗なのに、勿体無い。
ヒロインたちが巫女服で戦うCGはもうちょっと背景とかどうにかしてほしかった。使い回し出来るのはわかるけど・・・。
どうせ巫女服着てるんだから、4人集まったものとかも欲しかった。ロクな巫女服のCG無いんじゃないか?
それにパッケージ絵が一番素晴らしいのに本編で使われないんですね。絶望しました。
出来損ないの作品と一言で片付ければそれまでだけど、プレーヤーに考察の余地を与え(過ぎ)てる、という解釈をするならば、それなりにストーリーは出来ているし、考察し甲斐のある作品だと思った。
ただ、それでも伏線が回収出来ていないのは否めない。(駅でのミオリ、ホノカが持っていた大正ロマンな女の子の写真等)
無邪気に他人に勧められる作品ではないことは間違いなし。
ただ、個人的に、自分だけでは理解出来ない部分が多すぎるので、知り合いのエロゲーマーさんにはプレイしたうえでぜひ考察をして頂きたいとは思う。
音楽は素晴らしかった。CD欲しい。
OP、ED、BGMともに力を入れてるなと感じた。
特にEDはヒロインたちの心情をそのまま歌っているので聴いていて切なくなる。
好きなキャラクターはダントツでミオリちゃん。
だけど個人的に好きなルートの順番は、
アイリ>ミオリ>ユキ>サナ
かな。アイリルートは、最後の最後で気付いたら泣いてた。
アイリちゃんを演じた声優さんの演技力に泣かされたと言うべきか。
そしてなぜ葵ルートがない!?彼女凄い頑張ってたよ。主人公と結ばれることもなく、無残に殺され・・・。
葵ちゃんはあんなところで死んでいい子ではないよ。ツライ。
確かにこれはハッピーエンドではないけど、幸せじゃないわけではないと思う。
バッドエンドというより、メリーバッドエンド。残された人間にはツラさしかないだろうけど、主人公とヒロインたちにとって、バッドエンドでのあの選択は、ずっと一緒に過ごせる幸せへの選択だったのではないか。
逆にノーマルエンドだと、主人公は死んでしまい、残された人間はその悲しみを背負って生きていかなければならない。主人公との子は授かるが、それでもその子は主人公ではないから。
ヒロインにとっては、バッドエンドが主人公と居られる幸せなエンドであり、
ヒロインのまわりの人間にとっては、大切なヒロインだけでも助かるノーマルエンドが幸せな結末だった、のかなぁ・・・。
このへんはアイリルートでよくわかるところかな、なんて。
そんな感じでわたしはアイリルートが一番印象に残っている。
-追記-
このゲーム、タイトルに「少女」と二回も入れるくらいなのだから、やはりヒロインたちを意識しているのだろうし、そもそもが「アダルトゲーム」なのだから、主人公とヒロインたちが恋仲になるのは当たり前と言っても過言ではないわけで・・・。
そのなかで、やはり主人公がヒロインに惹かれていく描写が薄いということは致命的だし、キャラクターはとても可愛らしいのに、みんな主人公のためにしていることが同じだから、それぞれの良さを生かしきれていない。本当に勿体無い。
ではヒロインとヒロインの周りの人間(主に両親)たち中心の物語にすれば良いのか、と言われたら、それもどうなのかと。
ただ、この作品には「ヒロインとその両親たちの関係」は一番大切なものだと思うので、そこはもっと掘り下げて、何度も言うが、もっともっともっと掘り下げてくれないと、こちらも感情移入出来なかった。
ここまで言ったけど、こうやって色んなこと書けるくらいには楽しんだ。
定価で買ってたらキレてたかもしれないけど
いまの値段なら満足いくし、なにより世界観が好きだったので、私的にやって良かった。
グランドルートにしても、サナと主人公以外の人間はきっと死んだのだろう。
そして、おそらく何十年?何百年?何千年?経ったとき、もう人間ではないサナの目の前に、こちらも人間ではない主人公が現れ、2人は再開出来たのだろうな。
だから、2人はそれからもずっと一緒に居られるのだろうし、2人を縛るものはもうなにもない。
この物語のグランドルートに相応しいのかななんて思いました。
このゲームは呪いがどうこう、伏線がどうこうを考え出したらキリがない。
だって公式がじゅうぶんな考察要素を与えてくれていないんだもの。
だったらほかの視点から楽しむしかないんですよね。
おわり。