僕が天使になった理由
公式サイト:http://www.over-drive.jp/project/bokuten/
OVERDRIVEの僕が天使になった理由をプレイしました。
ストーリー:S
イラスト:S
音楽:S
キャラクター:A+
以下、いつものごとくネタバレ満載。
オムニバス形式で、共通√は1話〜6話まである。6話以降、百合とみなも、奈留子√へ分岐。3人を攻略後にアイネ√解放。
√分岐、選択肢は基本的に欠片を返すか返さないかの二択です。
この物語、主人公はアイネとしか本当の意味で結ばれません。
ほかのヒロインとの√はありつつも、実質、バッドエンドのようなもの。
1話
同級生同士の恋を描いたもの。好きになった人に好きな人がいたらどうするか。
少女漫画っぽく、このゲームへ引き込んでくれる導入部分と言える。ハッピーエンド。爽やかだなぁという印象。
まぁ、こんなの序の口だった。
2話
教師とバンドをやってる元教え子の話。
彼の夢を尊重し別れるか、彼は夢を諦め彼女と一緒にいることを選択するかの二択。
そのままのお話。別れてそれぞれの道を進むエンドか、彼が夢を諦めそれでも一緒にいるエンドか。
これがいちばん「エロゲ」っぽい二択の選択肢だったかな。わかりやすい選択肢でした。
3話
容姿にコンプレックスのある少女と、彼女とは正反対に可愛く優しい親友。その少女と親友が恋してしまった男の子との話。
三角関係。恋人をとるか親友をとるか。選ばなかった人間との関係はとても良いものとは言い難いものになる。
これも題材としてはありがち。彼氏と結ばれる√はひたすらに親友ちゃんが気の毒。
親友ちゃんが幸せになる世界、どこかにはあってほしい。
4話
男性同士の恋愛の話。同性愛。
教師(♂)に恋する生徒会長(♂)と、男装してまで一目惚れしたその生徒会長のそばにいたいと、見守りたいと願う後輩(♀)のお話。
題材が題材だけにハッピーエンドとは言い難いが、読後はスッキリした気分になれる。この物語で1番後味がいい終わり方をするかもしれない。
わたしはBL好きだけど、男の人がプレイすると苦手だと思う人もいるのかな。直接的な描写はないんだけど。
とにかく後輩くん(女の子だけど)が可愛い。
5話
売れない芸術家(引きこもりニート)と、美人な秀才ちゃんの話。
自分の逃げ道として年上の男性につきまとう秀才ちゃん。勉強ばかりの窮屈な日常も、彼といるときは安らぐってやつ。
相手もだんだんまんざらでもなくなってくる。共依存?というのかな。
年上の男性って魅力があるよね。それが逃げ道として、でも。
主人公はどちらのエンドでも、最後すべてを受け入れ前向きになっていたから、この話も割とポジティブな内容。
必ずしも愛し合う2人が一緒にいることだけが幸せではないんだよ、という話。
6話
この物語で1、2を争う最低最悪な物語。
高嶺の花な彼女は、汚いおっさんの性奴隷でした。そんな彼女を心配する、冴えない男子生徒の話。
彼女を助け出し無事付き合うことになるが、彼女はもう普通のセックスでは満たされなくなっていた。こんなにも彼が好きなのに満たされない。こんなにも彼女を好きなのに満たしてあげられない。
百合、みなも、奈留子までの6話は、どの選択肢を選んでもバッドエンド直結でした。お互いにお互いを諦めるか、彼が彼女を性奴隷として扱うかの二択。最悪です。
が、アイネ√直前の選択肢で、2人に希望が見えました。よかったです。泣きました。これは積まなくてよかった。積んだら間違いなくクソゲーでした。どこのエロ同人かよって。
ここまでが共通√です。
漫画を読んでいるみたいで、サクサク進められました。きっとこの6つのなかのどれか1つは、誰しも共感出来たり、好きになったりできる物語なんじゃないかなと思います。
わたしは4話と5話が好きでした。
百合、みなも√に関しては、あまり色々書けない気がする。とくにみなも。
共通√でかなり空気だったから、やっと√入って魅力を感じられた。わたしはメガネ萌えとかしないので、断然髪下ろしてグラドルやってるときのほうが好きです。
みなも√
アイドルの成長物語。
エンド分岐は、アイドルとしてのみなもを応援するか、駆け落ちするかの二択。
たぶん応援するほうがトゥルーエンド。
うーん。よくある話。エロゲに限らず、芸能人を題材にしていちばん最初に思い浮かびそうな話だなという印象。
悪かったわけじゃないし、しっかり作り込まれていてよかった。みなもというより、主人公の成長が伺えて楽しめました。
ただ、共通√がツボにハマりすぎたのと、4話と6話の印象が強すぎて、普通の良い話のみなも√はわたしの中で薄れてしまっただけだと思う。
みなもちゃん自身は可愛くて大好き。
百合√
主人公と同じくらい「自分は幸せになってはいけない」と思ってる百合の話。
わたしのトラウマです、これ。
彼女には桃という妹がおり、施設で暮らしている。
過去、妹に両親をとられてしまう!という子供心から進んで家事をした際に、不注意で火事を起こしてしまい、両親は亡くなった。それから、妹から両親を奪ったのは自分だと、自身を罰して生きてきた。
これもありがちだなという印象。過去に縛られた百合は、けれどもしっかり己と妹と向き合い、過去を克服していくんだろうなと思っていたら…真逆な展開すぎて、唖然。というか吐き気がした。
なんてったって、妹は姉を苦しめていたことに気付き自責の念から自殺するエンドか、主人公に姉をとられ狂ったかのように主人公と体の関係を持つエンドしかない。しかも、後者は3Pです。桃ちゃん、ノリノリでセックスしまくる。こわいです。桃ちゃんから溢れ出る狂気にわたしは吐き気を催した。
この√をプレイしたあとから、主人公と同じように、わたしも桃ちゃんを見るだけで震えるようになった。や、ちょっと盛ったけど、マジでこわい。
あんまりプレイしていて良い気分になれる√ではなかった。
奈留子√
最強幼馴染。わたしの本命。
主人公が心を塞ぎこんでしまったときから、ずっとそばで主人公を支えてきた奈留子。
けれど、自分が主人公を好きになると、もう主人公のそばにいられなくなることがわかってた奈留子は、自分の心を自ら切り取った。捨てた。
主人公のことを好きな一心で、そばにいたいと願う一心で。
わたし、幼馴染萌えもないんだけどな。奈留子みたいなタイプもいつもはスルーなんだけどな。
欠いた心が戻り主人公を意識するようになった奈留子は素晴らしく可愛かった。本当に可愛かった。
この√で運命の赤い糸の秘密を知り、エンド分岐。
奈留子と結ばれても必ず別れが来ると知りながらも、身体を重ねるエンドでは、幸せの絶頂期で、お互いがお互いのことを忘れてしまう。
もう1つは、付き合わない、もちろん手もつながない、キスもしない、セックスもしない、だからずっとそばにいられるよね…というもの。恋人同士じゃなくても…恋人同士じゃないからこそ、一緒にいられるよねってお話。
恋人とか、幼馴染とか、友達とか、そういうものを超越したお話。
(心の欠片、天使、赤い糸については書きません。気になる人はゲームやるかほかのサイト見てね!)
奈留子√はとくに清人が光っていた。
主人公の親友って、素晴らしい人ばかりだなぁ。清人もそれに漏れず、最後まで良い人でした。彼が幸せになりますように。
アイネ√
トゥルー√?グランドエンド?
主人公には、アイネと結ばれる未来しかないんです。主人公の赤い糸はアイネとしか結ばれてない。これはそういう物語だから。
だから、百合、みなも、奈留子√はあんな終わり方だったんだろうな。
このゲームはアイネのことを好きになれなきゃどう考えてもクソゲー認定しか出来ないと思います。
赤い糸とか、天使とか、地球の心とか、そういう伏線がいっきに回収されていく。もちろん主人公の過去とか、アイネの正体も。
アイネ√の最後は、主人公が天使になります。そして、アイネは人間に戻ります。
最後の方のCG、総じて素晴らしい。これを見れただけでもプレイした価値があると思わせてくれた。
「僕が天使になった理由」がわかるお話でした。
アイネの中の人は「桐ノ小島翼」という方らしいのだけど、この方、いまのところアイネしか演じていらっしゃらないんですよね。しかも名字が主人公と同じ。うーん、謎です。この辺なにかわかる人いたら教えて頂きたい。
正直、アイネ√で明かされるすべての秘密は無理矢理感があるというか、御都合主義というか。そういう捉え方をされても無理がないかなという印象。
だけど、人間の愛とか恋とか、幸せの形とか、誰かを想う気持ちとかって、こういう結末にでもしないと語れないんじゃないかとも思います。
わたしは好きでした。このお話。
愛するという1つの行為でも、様々な形があるんですよね。
おすすめ攻略順番は、百合→みなも→奈留子→アイネ。
百合とみなもはどちらから攻略してもいいけど、奈留子は3人の中で最後がいいかも。かなり伏線回収されるから。
あえて奈留子√からやるという手もあるけど、たぶん、彼女から攻略したら、ほかの√やりたくなくなると思う。わたしだったらしんどすぎて積んでしまう…。
いままでプレイしてきたなかで、1、2を争う満足度でした。
とくにわたしは共通√の1話〜6話を推す。
総じて出来が良いものだった。
どんなゲームもそうだけど、人を選ぶなということは強く感じられた。
エロゲでこの題材に挑戦するなんて、凄いなと思う。
必ず結ばれる相手が決まっているのに、ほかの人とも√があるんだもの。残酷だ。
アイネ√以外で得るものがなかったか?と聞かれたらもちろんそういうわけではないので、すべてにおいて、わたしはとても楽しめたけど。
ただ、深くトラウマを植え付けられたゲームでもある。本当にプレイ中はつらかったです。
あとおまけシステムが素晴らしい。
音楽をモチーフにしていることもあり、鑑賞モードでは、歌詞コードが出たり、プレイリストが作れる。
フルコンプした際もキャラクターが祝ってくれたり、1つの√終わるごとに、おめでとう!ってキャラクターが言ってくれる。ほっこりする。
カレンダーシステムもわかりやすくて良かった。
細部にまでこだわっていて、プレイしやすかったです。
おわり。
sweet pool
ニトロプラス キラルのsweet poolをプレイしました。
ネタバレしかないよ。
ストーリー:A
イラスト:B+
音楽:S
キャラクター:A
自分のお尻から、ある日突然違和感とともに肉塊が産み落とされる。
おまけに、クラスで特に苦手意識を持っていたイケメンに目を付けられ、強姦される。さらに、唯一仲良くしていた明るく元気な友達もメンヘラになり、挙句狂った同級生に絡まれる。
開始早々、主人公がえげつない感じでした。
「本能」と「理性」のどちらかを選択すると√が分かれる仕組みになっており、普段プレイしているゲームは文字での選択肢だけだったので、その点は新鮮でした。
こんな感じで、赤(右上)が本能、青(左下)が理性。どちらかをクリックすることにより物語が変わる形式。
BGM、エンディングが素晴らしい。どれも耳に残るものばかりで、世界観にマッチしている。
CGもゲームのボリュームに比べ多く、楽しめた。
エンドは全部で6つかな。
哲雄が4つ、善弥1つ、睦1つ。そのうち哲雄にグランドエンドが設けてありました。言わずもがな、sweet pool は哲雄がメインです。
攻略順は、
哲雄1→2→善弥→睦→哲雄3→4
です。
(正直哲雄1と2はあまり印象に残ってない)
・哲雄エンド1(融合)
オスの哲雄とメスの蓉司が身体を重ね、やがて融合し、肉塊になり、人ではない子孫を残すエンド。
姫谷のこと、これからの世界のことを考えると、考察しがいのある結末だった気がする。
人間としての生というよりも、「人間ならざる者」を産み落とし、愛し合った結果のお話。
ある意味では二人は、二人の選んだ幸せを全うできたのかもしれない。
・哲雄エンド2(姫谷に殺される)
このゲームのなかで一番バッドなエンドかな?
身体を重ねようとし、哲雄エンド1を目指しているときに姫谷があらわれ銃でバーン。呆気ない。
哲雄の過去がわかったり、黒幕の上屋がちょこっと出てきたりする。
姫谷の「坊ちゃんはなぜできそこないだったのか」という問いがまた切ない。
あんなにも翁長家の人間に寄り添ってきたのに、姫谷は最後まで蚊帳の外だった。彼も睦と同じふつうの人間だったが故に。ほとんど何も知らずに父親も善弥も失った。自分のすべてだった二つを失って、どうしようもない姫谷が見られるエンド。神様、彼にもどうか希望を。
・哲雄エンド3(同棲)
一番好きなエンド。
人ならざるもの(肉塊)を受け入れず、人間として生きたいと願って辿り着いた結末がこの√。
プールから飛び降りた「2年後」の話にいっきに飛ぶが、その2年間、哲雄と蓉司はずっと一緒に暮らしていたという解釈でオーケー?オーケーだよね。たった2年間だけど、2人は一緒にいられたんだよね。そう思わないとさすがに苦しい。
身体を重ねたオスとメスはいつか消えて(死んで?)しまう。蓉司はそれを理解していた。自分がいつ消えるか、わかっていたんですかね。哲雄もきっと気づいているかもしれない、と蓉司も言っているし、わたしもそう思う。
スーツで仕事へ行く哲雄を見送ると、「眠くなってきた…」という蓉司。そこでエンディング。
きっと蓉司はもうこの世にいない。消えてしまった。でも、幸せそうだったのだろうなと伺える結末だった。
人間として2人が掴み取った未来だから、これはハッピーエンドだとわたしは大声で言いたい!
行ってきますといった哲雄のCGが用意されていたんですが、彼のあんなに穏やかで満たされている笑顔が見れるなんて。
余談ですが、眠くなってきた…のくだり、某黒須ちゃんが寝るゲームを思い出しました。
・哲雄エンド4(哲雄が記憶喪失)
これが一応グランドエンドという位置付けだと思います。
プールに飛び込んだ後、哲雄は数ヶ月後に病院で目をさます。ヤッタ!生きてる!ハッピーエンド!?と喜ぶわたし。
だけど、哲雄のなかの「蓉司」の記憶だけが抜け落ちていた。蓉司の話を聞いても誰のことだか理解出来ないなんて、切なすぎる。
本来ならばオスの哲雄は治癒能力が高いのでこんなに意識不明の状態が続くわけはない…と思うのだが、哲雄を助けたいと願った蓉司によって、哲雄は普通の人間になったということなのかな。
となると、エンディング後、駅のホームに佇む蓉司の姿は、幻想?妄想?だということなんですかねえ。
蓉司が哲雄のことを身を挺して守ったわけだから…。
このグランドエンドの何が一番ツライかって、蓉司がいなくなり、せっかく認めかけていた哲雄も蓉司のことを忘れてしまったことにより、睦がどうなったかを考えることがツライ。
3人で出掛けようって話をしていたのに。脱メンヘラして普通の暮らしが出来るようになったのに。登校すると蓉司はいない、哲雄も蓉司を忘れてる、なんて、睦はまたどうにかなるんじゃないか…。
睦くんがどうか平穏な日常を送れますように。
それにしても、プール落ちの分岐で、「理性」を選ぶと、蓉司は生きたいと強く願い、哲雄を助け自分は消え、哲雄は記憶喪失のまま生きるエンドに。つまり「哲雄のなかで」蓉司は生きている、ということなのかなあ。切なすぎる。
「本能」を選ぶと、「哲雄を助けたい」と思う蓉司の姿が見られる。そして同棲エンド。記憶喪失にはならず二年間平和な生活をきっと送っていたのだろうが、蓉司は自分の運命を悟っていたし、やはり消えてしまう。
そう思うと、「理性」を選んで掴み取った記憶喪失エンドがグランドルートで、この物語の一番伝えたかった結末なのかなぁ、と納得できる。
「理性」は、ほかの動物も持っているには持っているが、人間以上にコントロールの効かないもので。動物は本能で動いてしまうから。
だからこそ、最後に「理性」を選べれば、二人はずっと一緒にいられるわけなんですね。
悲しい。切ない。やるせない。でも二人は幸せだったんだろうなあ。
・善弥エンド
狂ってる。でも狂わなきゃ生きていけない境遇だったんだ、善弥は。
人間としても不完全、オスとしても不完全。どう生きたらよかったんだろうね。
人間として生きたくても、夕焼け小焼けが邪魔をする。
オスとして生きようにも、自分は完璧ではないから蓉司を手に入れることが出来ない。監禁して子供を産ませようにも、善弥が完璧なオスではないから、生まれるのは歪な肉塊だけ。
善弥にどうしろっていうんだ!!!!!!!
一番悲しいと思った√だった。救いようがない。善弥は救われない。
一応そのほかの√では、自分の意思で動いた結果、姫谷に抱かれて息を引き取るものの。やっぱり、彼は人間として死ねず、オスとしても死ねなかったわけだから。どう見ても一番救われてないのは善弥だ。あと姫谷。
・睦エンド
食いしん坊な睦くんは、哲雄に蓉司を奪われるのが嫌で、蓉司を食べちゃいました。
カニバリズムエンド。
こんなところで男子学生の食欲を使わないでくれ・・・。マジかよ・・・。
蓉司を食べて字の通り蓉司を「自分のもの」にした睦だけど、それでも心も体も満たされなかった。
だから自分の腕を食いちぎってみた睦。痛くはない。でも満たされもしない。普段通りの睦に、クラスメイトも、そのなかの闇を伺うことは出来ない。完全に孤独になった睦。
「望みを叶えて手に入れたものは、底の見えない絶望だった」
という文章からもわかるけど、絶対、どう考えても、救われない√だった。
蓉司を自分のものにした睦。でももう蓉司に会えないことを知り涙を流す睦。
目の下にはクマが出来、憔悴し、食べても食べても満たされない。かつて心を満たしてくれたことがあった対象も、自分の手によりもうこの世界にいない。
睦√へは選択肢ですべて理性を選ぶと到達するのだが、蓉司(プレーヤー)が理性を貫いた結果、睦は理性を失い、自分の本能のまま、望んでいたはずの、望まれなかった未来を選んでしまった。
これもまた悲しいお話だった。
sweet poolは哲雄と蓉司のお話だから、善弥と睦は個人√で救われないんですね。
睦は共通√で脱メンヘラし、蓉司とも和解する。
哲雄のことも認めかけて、三人で出かけたいねとも言う。
だけど善弥は、どの√でも目に見えた「幸せ」は得られなかった。
彼は生まれたときからそういう運命だったのかと思わずにはいられないほど、救われない。
気付けば自分は完璧な人間ではなく。中途半端な存在で。オスでもなく。
メスの蓉司があらわれ一筋の希望を見出すも、自分とは違う完璧なオスの哲雄の前ではなにも出来なかった。自分は惨めなできそこないだと思わざるを得なかった。
ただひたすらに善弥が救われないお話で、全√終えて改めて善弥の登場シーンを見ると、胸を抉られる思いになる。
善弥が一番好きだったので、悲しい思いになりますね。彼がいつかどこかで幸せになれますように。
わがままを言うならば、善弥と姫谷の√が欲しかったかも。
善弥が蓉司に固執するのは、自分が不完全ながらもオスで、蓉司がメスだから、だよね。
だったらそういうの無しにして、姫谷とずっと一緒なエンドみたいなものもあったら良かったのにと思います。
姫谷も善弥も、恋とか愛とかそういうものではないもので繋がっていたように思う。お互いに依存していたとでも言えばいいのかな。
まぁ、そういう√がなくても大いに満足出来るゲームでした。胸のモヤモヤはとれないけど、哲雄と蓉司の2人を考えると、これで良かったんだなと思う。
ただ、何度も言うけど、善弥と睦が報われない部分が多すぎるだけで。
あまり大きな声で他人に勧められる作品ではない気はしますが、何度もプレイするたびに感じるものがあるゲームでした。
興味がある人はやって損はしないと思います。
ボリュームもそんなになく、綺麗にまとまっているので、ささっと空いた時間に出来ます。
おわり。
紙の上の魔法使い
ウグイスカグラの紙の上の魔法使いをプレイしました。
公式サイト:
http://kagura.rdy.jp/kamimaho/
この先の文章、紙の上の魔法使いをこれからプレイしたいと思っている人は、絶対に見ないでくださいね。絶対ですよ。絶対ですよ。フリじゃないですよ。
ストーリー:A
イラスト:A-
音楽:A
キャラクター:S
総合点は90点。
まさかここまで重たくてプレイしていてしんどいとは、だれがプレイ前は思ったか。
もっと明るくて楽しい物語だと思ってましたよ。
イラストは可愛くて好みだったものの、ところどころバランスがおかしかったりしたので、この評価。
OP、EDがないのは少々残念な気もするが、プレイし終えてみて、なきゃないでいいかなと納得できる程度。
BGMは聴いていて落ち着くものばかり。特にタイトル画面でも流れる「紙の上の魔法使い」はお気に入り。
この作品、以前プレイした少女神域と比べると、うまく出来すぎていて、考察の余地とかないんですよね。
飽きさせない日常会話、散りばめられる伏線、先を早く読み進めたいと思わせる文章、それから徐々に伏線回収がされ、物語終盤の怒涛の伏線回収劇。
素晴らしいの一言に尽きるとともに、プレイしていて、とてもつらかった。
ヒロインのうち一人は人外、一人は自殺をし序盤で退場、そしてなによりも、主人公も物語中で死んでしまう!そして人外になる!しかもそれがわかるのは物語終盤!
なんということだ。
基本的に明るい雰囲気で物語は進んでいくものの、物語は常に鬱の最高潮で進んでいくので、プレイしていて疲れた。
別に悪い意味ではなく、純粋に、疲れた。
好きなキャラクターはダントツでかなただけれど、嫌いなキャラクターはいない。
ツンデレな夜子も、小動物のような理央も、最期まで兄を想っていた妃も、普通の女の子のクリソベリルも、みんな可愛くて、大好き。
ただね、日向かなたは、主人公を手助けしていたとともに、プレーヤーのことも助けてくれていて、救っていてくれたんだなと。
かなたのあの明るさがなかったら、主人公だけでなく、プレーヤーもこの物語の結末を知ることは出来なかったんだと。
この物語の根底にあるものは、だれもが抱えたことのある恋心だったり、だれかを想う気持ちであったり、だれかに嫌われたくないと、傷つきたくないと思う心だったり。それから、だれかを羨んで嫉妬して、嫌って、憎悪して・・・そういう当たり前のものなんじゃないかなぁ。
ところでね、闇子さんは死んでしまったわけだけれど、だれもこのことについて言及していないのはいいの?
みんな闇子さんがすでにこの世に存在していないことを知っているの?
そこはプレーヤーに語らないのね。
パッケージ買いをした人には、ご愁傷様としか言えない。
イチャラブゲーじゃないからね。
妃と夜子は「二番手」だから。
この物語、横道にそれないで、まずはトゥルーエンドまで進めたほうがいいのかもしれない。
わたしは攻略を見ながらやったので、理央→妃→夜子→かなた→トゥルーの順番でプレイしたけど、いかんせんこんがらがる。
わたしの頭が弱いのと、時間をおいてプレイしているせいもあるとは思うんだけど・・・。
まぁ、トゥルーエンドはその名の通り真実を語っているので、結局どうあがいてもこの物語にとっての「真実」はトゥルーエンドなんだろうけどね。
それを見た後でほかのキャラのエンドを見ると、こういう未来もあったのかもしれないと、思える。のかも。
なんだか言いたいことがまとまらないが。
もっと評価されるべき作品とはよく言ったもので、この作品はまさしくそうなんじゃないかな。
パッケージとは裏腹に、重たい物語で、決して後味がいいと言えるものではなかったけど、終盤の清々しいまでの伏線回収は、クリックする手を止められなかった。
日常会話がつまらないという意見もちらっと見かけたが、うーん。どうなんだろう。わたしはすべてを面白く感じられたな。まぁ人それぞれか。
妃の気持ちも、理央の気持ちも、汀の気持ちも、ひいては、闇子のわが子を想う気持ちにだって、共感できる部分はあるわけで。
人を愛することはきれいなだけじゃないって、妃も言ってましたしね。
とにかくプレイしていて重たかったけど、やる価値はあったなと。やってよかった。
特に泣けるとか、笑えるとか、感動できるとか、そういう感情はいまはない。そのかわりに、伏線回収が素晴らしい!の一言に尽きるかと。
本当に、圧倒された。
まぁ多少甘い部分はあれど、このライターさんは素晴らしいなと素直に思わせてくれる作品でした。
ウグイスカグラは新作も控えているらしいので、めちゃめちゃ期待してます。
おわり。
少女神域∽少女天獄 -The Garden of Fifth Zoa-
Lassの少女神域∽少女天獄 -The Garden of Fifth Zoa-をプレイしました。
HP:http://lass.jp/product/5th_style/
タイトル、イラスト、キャッチコピーの「物語は、いつも幸福な結末とは限らない」に惹かれ、購入。
総合点は68点くらいかなぁ・・・。
自分の中で、70点いけば良作で、他人に文句なしに勧められる作品の部類に入るだろうなと思いながらゲームはプレイするのですが、この作品は、そこまでは届かないかも、という印象。
星いくつ、で例えるなら、星3つ。(5つ中)
ストーリー:B-
イラスト:A
音楽:S
キャラ:A-
ここから先ネタバレ満載です˞͛ʕ̡̢̡◌・ꄃ・◌ʔ̢̡̢˞͛
自己満足な感想。物語の説明はしてないので作品やった人向けかも。
攻略対象は4人。メインで出てくる女の子は攻略対象の4人+1人。
漢字変換面倒なので人の名前はカタカナ表記します。(気になった人は調べてね!)
まず攻略対象は、
主人公(シュン)の幼馴染で大学が同じのユキ、
同じく昔からの知り合いのミオリ、
実妹のサナ、
サナの親友のアイリ
という感じ。
わたしはユキ→ミオリ→アイリ→サナの順番に攻略したが、ぶっちゃけ最後がサナならどこから攻略しても良いのでは、なんて思ったりした。
もっと言うなら、サナ以外の3人のうちの誰か1人さえしっかり攻略すれば、あとの2人はいらないんじゃないかとすら思えた。
このゲーム、グランドルートが妹のサナに用意されているんです。
じゃあほかの3人はどのような感じかというと、まったくもって同じ内容。本当です。ただキャラをすげ替えただけです。
例えば、1つ屋根の下で暮らす主人公とヒロイン4人がいるわけですが、主人公と恋仲になったヒロインが他の人間にバレないよう、2人だけにわかるサインを決めるところとか。
例えば、仲を深めるために街へデートをするところとか。
例えば、化物になった主人公とHするところとか。
もっというと、3人のエンドがまったく同じという始末・・・。
ノーマルエンドは、主人公は死に、ヒロインは主人公との子を産む。
バッドエンドは、ヒロインは化物になった主人公のなかに取り込まれ、生きる道を断つ。
だから1人目、2人目に攻略したキャラの印象が薄い。
もともとキャラゲーにすらならなそうな感じなのに。
それから共通ルートが多すぎる。
しかも、その共通ルートのほとんどが観光案内か、飯テロというとんでもない苦痛の連続。
二週目以降はもちろんそれらをスキップ出来るものの、個別ルートに入っても共通部分が多いので、凄く物足りない。
共通ルートが多すぎるうえに、先ほども書いたがサナ以外の3人が同じ内容なので、イマイチ主人公がヒロインに惹かれていく描写が薄い。ちなみにヒロインたちは昔から主人公と知り合いだったこともあり基本物語スタートと同時に主人公が大好き。(一部例外有り)
共通ルートでは、ヒロインの両親たちの会話も入って来て、そこで謎が少し解ける、ということもあるので、迂闊にスキップしたり出来ないこともあった。
その両親たちの会話をしっかり見ないと感動出来るものも出来ない。
結局細かい説明は最後までされずに、物語はサナルート・グランドルートに向かう。
かと思うと、そこでもロクな説明がされずに、プレーヤー置いてけぼり。
気付けばエンディング。
この作品、主人公とヒロインたちの恋物語というよりは、ヒロインとヒロインの両親たちの葛藤の物語といったほうが良いのでは・・・。
ヒロインたちは皆、家系に縛られ、親に縛られ・・・。
親たちも家系に、過去に縛られて生きてきた。
だからこそ、主人公とヒロインが惹かれ合う描写ももっと欲しかったが、ヒロインの両親等もあそこまで出すからにはもっとしっかり掘り下げて欲しかった。
残念でならない。
あと意味のわからない一枚絵。
イラスト自体は繊細で綺麗なのに、勿体無い。
ヒロインたちが巫女服で戦うCGはもうちょっと背景とかどうにかしてほしかった。使い回し出来るのはわかるけど・・・。
どうせ巫女服着てるんだから、4人集まったものとかも欲しかった。ロクな巫女服のCG無いんじゃないか?
それにパッケージ絵が一番素晴らしいのに本編で使われないんですね。絶望しました。
出来損ないの作品と一言で片付ければそれまでだけど、プレーヤーに考察の余地を与え(過ぎ)てる、という解釈をするならば、それなりにストーリーは出来ているし、考察し甲斐のある作品だと思った。
ただ、それでも伏線が回収出来ていないのは否めない。(駅でのミオリ、ホノカが持っていた大正ロマンな女の子の写真等)
無邪気に他人に勧められる作品ではないことは間違いなし。
ただ、個人的に、自分だけでは理解出来ない部分が多すぎるので、知り合いのエロゲーマーさんにはプレイしたうえでぜひ考察をして頂きたいとは思う。
音楽は素晴らしかった。CD欲しい。
OP、ED、BGMともに力を入れてるなと感じた。
特にEDはヒロインたちの心情をそのまま歌っているので聴いていて切なくなる。
好きなキャラクターはダントツでミオリちゃん。
だけど個人的に好きなルートの順番は、
アイリ>ミオリ>ユキ>サナ
かな。アイリルートは、最後の最後で気付いたら泣いてた。
アイリちゃんを演じた声優さんの演技力に泣かされたと言うべきか。
そしてなぜ葵ルートがない!?彼女凄い頑張ってたよ。主人公と結ばれることもなく、無残に殺され・・・。
葵ちゃんはあんなところで死んでいい子ではないよ。ツライ。
確かにこれはハッピーエンドではないけど、幸せじゃないわけではないと思う。
バッドエンドというより、メリーバッドエンド。残された人間にはツラさしかないだろうけど、主人公とヒロインたちにとって、バッドエンドでのあの選択は、ずっと一緒に過ごせる幸せへの選択だったのではないか。
逆にノーマルエンドだと、主人公は死んでしまい、残された人間はその悲しみを背負って生きていかなければならない。主人公との子は授かるが、それでもその子は主人公ではないから。
ヒロインにとっては、バッドエンドが主人公と居られる幸せなエンドであり、
ヒロインのまわりの人間にとっては、大切なヒロインだけでも助かるノーマルエンドが幸せな結末だった、のかなぁ・・・。
このへんはアイリルートでよくわかるところかな、なんて。
そんな感じでわたしはアイリルートが一番印象に残っている。
-追記-
このゲーム、タイトルに「少女」と二回も入れるくらいなのだから、やはりヒロインたちを意識しているのだろうし、そもそもが「アダルトゲーム」なのだから、主人公とヒロインたちが恋仲になるのは当たり前と言っても過言ではないわけで・・・。
そのなかで、やはり主人公がヒロインに惹かれていく描写が薄いということは致命的だし、キャラクターはとても可愛らしいのに、みんな主人公のためにしていることが同じだから、それぞれの良さを生かしきれていない。本当に勿体無い。
ではヒロインとヒロインの周りの人間(主に両親)たち中心の物語にすれば良いのか、と言われたら、それもどうなのかと。
ただ、この作品には「ヒロインとその両親たちの関係」は一番大切なものだと思うので、そこはもっと掘り下げて、何度も言うが、もっともっともっと掘り下げてくれないと、こちらも感情移入出来なかった。
ここまで言ったけど、こうやって色んなこと書けるくらいには楽しんだ。
定価で買ってたらキレてたかもしれないけど
いまの値段なら満足いくし、なにより世界観が好きだったので、私的にやって良かった。
グランドルートにしても、サナと主人公以外の人間はきっと死んだのだろう。
そして、おそらく何十年?何百年?何千年?経ったとき、もう人間ではないサナの目の前に、こちらも人間ではない主人公が現れ、2人は再開出来たのだろうな。
だから、2人はそれからもずっと一緒に居られるのだろうし、2人を縛るものはもうなにもない。
この物語のグランドルートに相応しいのかななんて思いました。
このゲームは呪いがどうこう、伏線がどうこうを考え出したらキリがない。
だって公式がじゅうぶんな考察要素を与えてくれていないんだもの。
だったらほかの視点から楽しむしかないんですよね。
おわり。